砂地の土壌が生み出す、甘くておいしい白ネギ

【大分白ねぎ】

大分県北部の豊後高田市では、干拓地を使って白ネギの栽培が盛んに行なわれている。なんと、大分県のねぎ生産量は西日本一! 大分県産の白ネギは身が詰まってずっしりと瑞々しいと全国各地で人気となっている。なぜ、豊後高田市で白ネギの栽培が盛んになったのか? そのおいしさの秘密とは?

豊後高田市を南北に貫く国道213号線。その西側にあたる呉崎や西真玉エリアには、広大なネギ畑が広がっている。このエリアは江戸から昭和にかけて海を開拓した干拓地。そのため畑の土壌は砂地で多くの貝殻なども混ざっている。水はけが良く、ミネラルも豊富で気候も温暖なため、白ネギの栽培に適している。昭和42年には国指定の秋冬ネギの産地にもなった。これにより、年を追うごとに作付け面積は増えていき、大分県内でも有数のネギの産地となった。大分県内では、夏場は由布市などの高地で栽培を行ない、1年を通してネギを出荷している。

呉崎エリアの板清良文さんの畑でも、白ネギが綺麗な緑の葉を伸ばしていた。「砂地の土壌が白ネギ栽培に適しているとはいえ、畑の準備期間には大分県に土壌の成分を検査してもらい、緑肥を入れるなどして、よりおいしい白ネギが育つように工夫しています。植え付け後にも成長に合わせて肥料を与えます」と板清さん。白ネギは連作に強いが、怖いのは病気。病気が出てしまうと隣接する畑にも広がってしまうため、十分に気をつけているという。「愛情を込めて育てています」と板清さんは笑う。

私たちが食べているネギの白い部分は、茎ではなく葉。「『大分白ねぎ』は、冬場は白い部分(軟白)の長さが27cm以上と規格で決まっているため、出荷までに5〜6回の土寄せを行ないます」と板清さんが教えてくれた。葉は太陽の光を浴びると光合成を行ない緑色になるが、土を被せることで白く柔らかいまま育つ。そのため、成長速度に合わせた土寄せが必要となる。また、寒さも味に影響する。冬の寒さで凍らないよう、白ネギ自身が糖を蓄えて凍りにくくするのだ。生ではアリシンなどの成分で辛いが、火を通すと驚くほど甘くなるのは、このため。

板清さんはこのエリアの畑以外に、由布市にもネギ畑を持っている。その広さは合わせて10ha。なんと東京ドーム2個分以上の広さだ。「豊後高田市では12〜8月上旬ごろまで収穫と出荷を行ない、それ以外の期間は由布市で白ネギを作っています。そうすることで1年を通じて、おいしいネギを出荷できます」と話す。大分県では夏場は高地で白ネギを栽培しているところが多く、県を上げて周年出荷のサポートしている。だから、店頭には常に白ネギが並んでいるのだ。こううした生産者と県、JAの努力が実り、全国的にも上位の生産量を誇っている。

板清良文さん

実家の農家を継いで15年以上。「今年もおいしく育っています。鍋がおすすめですが、タマネギの代わりにシチューに入れてもおいしいです」という。