安心安全で、子どもも食べられる小ネギ
【大分べっぴんねぎ】
『大分味一ねぎ』や『大分白ねぎ』など、大分県にはさまざまなブランドネギがある。その中のひとつが、小ネギの『大分べっぴんねぎ』。その名前は、栽培発祥の地「別府」と、「一村一品運動」から1文字取って付けられた。別府市から始まった『大分べっぴんねぎ』は、今や大分県の広い地域で栽培されている。それは、水耕栽培によって質が高いネギを安定して出荷できるため。『大分べっぴんねぎ』農家の竹本眞吾さんに話を聞いた。
味噌汁から冷奴、鍋料理、さらにはラーメンやうどんなど日本の食卓に欠かせない小ネギ。主役になることは多くないが、さまざまな料理においてその味と香りで主役を引き立てる名脇役だ。別府市で栽培が始まった『大分べっぴんねぎ』は、水耕栽培によって、味と香りが良く、シャキシャキとした歯ごたえが良いのが特徴。その名の通り、濃い緑をして、ピンとまっすぐに伸びる姿は、まさに“べっぴん”さんだ。食物繊維やビタミンKなどの栄養素も豊富で、食べればべっぴんになれるかも? 1年を通じて、10回前後の収穫が行えるのも農家にとってはメリットだ。
大分県内の広い地域で栽培されている中、由布市で『大分べっぴんねぎ』を長年作り続けている竹本さん。現在は『挟間グリーンファーム』を立ち上げて栽培を行っている。代々農家の家系に生まれた竹本さん。祖父や父の代はミカンや生花の栽培を行っていたが、30年前に『大分べっぴんねぎ』の栽培に取り組み、現在はこれだけに力を注いでいる。「ネギが苦手な子どもさんも、『大分べっぴんねぎ』なら食べるという話をよく聞きます」と話す竹本さん。子どもも食べられるほど辛味が少ないから薬味などの生食に最適だ。
全部で70アールの敷地にビニールハウスを建て、その中で『大分べっぴんねぎ』が育っている。種蒔きから10〜20日ほど経って20cm程度に育った苗を定植し、液体肥料の入った地下水を使って育てていく。土耕栽培とは違い、土を使っていないため、土の中にいる雑菌の影響も受けにくい。そのため農薬などを最小限に抑えた安心で安全な小ネギになる。これが安定して高品質な小ネギを栽培できる要因だ。
食べごろの長さと太さに育った『大分べっぴんねぎ』は、すべて手作業で収穫される。「機械ではうまく抜けないんですよ。手で簡単に抜けますが、数が多いので大変ですね」と竹本さんは話す。こうして、丁寧に優しく育てられた小ネギを一芯二葉の形に整える。そして、100gずつパッケージしたものを30束まとめて1ケースにして出荷する。通常は70ケースだが、繁忙期には100ケースを市場へと送り出す。これが毎日続くのだから大変だ。「今年の夏は暑かったのですが、それに負けずにおいしい『大分べっぴんねぎ』に育ちました」と竹本さんは笑顔だ。
竹本眞吾さん
代々農家の家系に生まれる。『大分べっぴんねぎ』専門。「『大分べっぴんねぎ』を作る農家と作付け面積を広げ、みんなで盛り上げていきたい」という。