薬味だけじゃない、主役にもなれる小ネギ

【大分味一ねぎ】

大分県北部に位置する宇佐市などで盛んに栽培されているのがブランド小ネギの『大分味一ねぎ』。味噌汁やうどん、そばなどの汁物、冷奴などの薬味としてお馴染みの小ネギ。料理の名脇役として、普段何気なく食べているが、特に和食には欠かすことのできない食材だ。そんな『大分味一ねぎ』について、もっと知ろう!

『大分味一ねぎ』とは、大分県で生産される小ネギのブランド。主に宇佐市や中津市、国東市など大分県北部エリアで栽培されている。この一帯は宇佐平野と呼ばれ、良質な有機物をたっぷりと含んだ肥沃な大地が広がる。加えて、温暖な瀬戸内気候に属し、小ネギをはじめとした野菜づくりには最適な地域だ。元々、小ネギの栽培は盛んだったが、それぞれの地区で別々だった銘柄を2008年に統一して、『大分味一ねぎ』が誕生。“味も香りもピカイチ!”ということがネーミングの由来で、今や大分を代表するブランド野菜の一つだ。

宇佐市の大窪勉さんは、ビニールハウス85棟(広さ2.4ha)を使って、『大分味一ねぎ』を育てている。「小ネギの栽培は水分コントロールが重要で、生育期には水分を多めに与え、出荷前になると水をあまり与えないようにしています。そのため、雨の影響を受けないビニールハウスでの栽培になります」と小ネギ栽培のポイントを教えてくれた大窪さん。『大分味一ねぎ』は、夏場は60日、冬場は120日かけて育てられ、1棟のビニールハウスで年間3〜4作行われている。そのため、土づくりも重要な作業のひとつだ。

「ウチでは収穫後に土壌消毒を2週間〜1カ月かけて行ないます。その後、肥料などで不足している成分を与えます」と大窪さん。宇佐地区の土壌はもとより肥えているが、そこに天候などを考慮して長年の経験からより良い土にするという。日数をかけて、じっくりと育てられた『大分味一ねぎ』は、人の手によって収穫されます。大窪さんは毎朝5時から収穫を行ない、その日のうちに出荷。出荷場では1本1本厳しい検査が行われ、それを通過して“一芯一葉”に整えられた小ネギが『大分味一ねぎ』として、全国各地へと送り出される。

味と香りが自慢の『大分味一ねぎ』。大窪さんたち生産者は、薬味だけでなく、料理の主役にしたいと考えて『大分味一ねぎ』を使ったさまざまな料理も提案している。「生だとピリッと辛く、熱を加えると辛味がなくなり、甘味が前面に出て、シャキシャキとした歯触りを楽しめます。私のおすすめは、豚バラ肉と一緒にしゃぶしゃぶして食べる“ねぎしゃぶ”ですね」と大窪さん。お好み焼き屋の定番メニュー「ねぎ焼き」はもちろん、韓国料理の「チヂミ」もおすすめだという。どんな料理にも使えるのが『大分味一ねぎ』の良さでもある。

大窪勉さん

『大分味一ねぎ』の生産者だけでなく、『ねぎ焼きとねぎしゃぶの店 鉄板バル 葱屋』も展開中。『大分味一ねぎ』を通じて笑顔の輪を広げようとしている。